てんてん

読書の記録や日記など。

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二度はゆけぬ町の地図  西村賢太

酒、喧嘩、女、その日暮らしの男が主人公の私小説4編。下品でだらしなくて自分勝手だけど、清々しくて気持ちが良い。暗さはないけれど、お金がないことによる閉塞感は感じた。


「浮世とは、他人の耐え難きものを耐えての、果てなき行路のことであったか」

 

 

僕に踏まれた町と僕が踏まれた町  中島らも

60〜70年代、著者の青春時代を描いたエッセイ。とくにどうということのない話がグダグダと続く。ギターを弾くときに顔がついていく話が面白いかった。

西村賢太を読んだあとだからか、この人意外と普通の人なのではと思った。


「思想がないのに事を起こすやつほど怖いものはない」


「生きていて、バカをやって、アル中になって、醜く老いていって、それでも『まんざらでもない』瞬間を額に入れてときどき眺めたりして、そうやって生きていればよかったのに、と思う」

 

 

とりつくしま  東直子

死後、未練のある人に、何か物にとりついて現世に戻る機会をくれる、とりつくしま係。色々な人が、さまざまな物にとりついた短編集。

未練がなくなったら成仏するのだろうか。

結局何にとりついても幸せにはなれなくて、だからこそ、今を大切に生きよと言いたいのかな。

5ページの短い番外編が、それまでの短編とは少し違って不思議で不気味でこれも良かった。


「欠点があったとしても、それは、気づかない人にとっては、欠点にならずに済む。だから、欠点なんて知ろうとしなければよいのだ」